プリンス堀潤 のそもそもキーワード«2015年9月号より»

18歳以上に選挙権 (前編)

夏休みも、もう後半にさしかかってきましたね。充実した毎日を過ごすことができていますか? 今回はみなさんが数年後に関わることになる「選挙」について大切な話をしましょう。
ぼくはこの夏、政治家の取材に飛び回っていました。新しい法律案が国会で議論されているからです。みなさんの将来にも関わる大切な法律です。それは「集団的自衛権」について。アメリカのように日本と同盟を結んでいる国が、ほかの国から攻撃された場合に、自衛隊を派遣して一緒に反撃できる権利のことです。安倍晋三総理大臣は「集団的自衛権は憲法で認められている権利」と主張して、その権利を使うことができるように、新たな法律をつくる議論を進めています。
しかし、日本の憲法は「平和主義」を掲げていて、自分の国が直接攻撃を受けていないのに、他国の軍隊と一緒に武力攻撃を行うことは、憲法違反という立場を貫いてきました。新たな法律はこれまで日本が戦後70年にわたって守ってきた「専守防衛」、つまり《相手から攻撃を受けたときにはじめて攻撃を仕返す》という姿勢を大きく変えることになります。そのため、野党(※)の議員や憲法学者から、「戦争法案だ」「憲法違反だ」という反対の声があがっているのです。
※国会では、総理大臣をトップとした内閣を組織している政党を「与党」、それ以外の政党を「野党」と呼んでいる。
しかし、日本の憲法は「平和主義」を掲げていて、自分の国が直接攻撃を受けていないのに、他国の軍隊と一緒に武力攻撃を行うことは、憲法違反という立場を貫いてきました。新たな法律はこれまで日本が戦後70年にわたって守ってきた「専守防衛」、つまり《相手から攻撃を受けたときにはじめて攻撃を仕返す》という姿勢を大きく変えることになります。そのため、野党(※)の議員や憲法学者から、「戦争法案だ」「憲法違反だ」という反対の声があがっているのです。
※国会では、総理大臣をトップとした内閣を組織している政党を「与党」、それ以外の政党を「野党」と呼んでいる。
少し前置きが長くなりましたが、このように、法律を決めるのは国会ですが、そこで議論する人々(国会議員)を選ぶのは選挙権を持った国民です。「集団的自衛権」を例にすると、新しい法律がつくられた場合、戦地で活動する自衛隊員の多くは若い世代です。近い未来のあなたや、あなたの友人かもしれません。そのため、若い世代が政治に関わることは、とても大切なことなのです。
そうした意味で、今年6月に歓迎すべき制度改革が行われました。それは、「選挙権の18歳以上への引き下げ」が決まったことです。来年夏の参議院選挙から、今まで選挙権のなかった18歳、19歳の若者にも一票が与えられることになりました。計約240万人の新たな有権者が誕生します。
実は、世界に196ある国や地域のうち、約9割にあたる176の国と地域が、18歳以上に選挙権を認めています。ようやく日本も諸外国並みになったといえます。オーストリアやアルゼンチンでは16歳から選挙権が与えられていて、高校生のころから国の政治に関わりを持っています。
このコラムを読んでいるみなさんも、数年後には有権者になりますね。もう目の前です。次号では、みなさんと政治の距離をぐっと近づける方法などについて紹介します。
実は、世界に196ある国や地域のうち、約9割にあたる176の国と地域が、18歳以上に選挙権を認めています。ようやく日本も諸外国並みになったといえます。オーストリアやアルゼンチンでは16歳から選挙権が与えられていて、高校生のころから国の政治に関わりを持っています。
このコラムを読んでいるみなさんも、数年後には有権者になりますね。もう目の前です。次号では、みなさんと政治の距離をぐっと近づける方法などについて紹介します。
政治に参加できる年齢が20歳以上→18歳以上になる
18歳以上が選挙で投票できる「改正公職選挙法」が成立した。来年夏の参議院選挙では、新たに18歳、19歳の計約240万人が投票できることになる。すべての有権者に占める割合は2%程度だけど、政治や選挙にどんな変化があるのか、今から注目されている

ここ数年間の選挙では、毎回、与党である自民党の候補者が、ほかの政党の候補者の数を大きく上回って当選しています。「景気をよくして、生活を豊かにする」という政策を前面に打ち出した安倍総理を支持したわけです。しかし、「集団的自衛権を認めて、新たな法律をつくることについて支持したわけではない」という声も、国民の間ではあがっています。
若者は政治に関心を持たない?
2014年の衆議院選挙では、最も若い20~24歳の投票率が年代別で最低に。一方で、70~74歳の投票率が最高だった
資料 総務省

政治に参加するための
学習や準備は、一体どこですればいいのでしょう?小学生や中学生のうちからできることはたくさんあります。次号で紹介しますので、ぜひ読んでくださいね
- 今年6月、18歳以上が選挙で投票できる「改正公職選挙法」が成立
- 来年夏の参議院選挙から、18歳、19歳の有権者(計約240万人)が誕生
- 世界の約9割の国や地域で、18歳以上に選挙権を認めている
堀潤 プロフィル
1977年 、兵庫県 生 まれ。ジャーナリスト、市民投稿型 ニュースサイト「8bit News 」代表 。「モーニングCROSS (TOKYO MX )」「JAM THE WORLD (J-WAVE )」など、テレビやラジオの出演多数 。
1977年
イラスト いのうえしんぢ